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現代とそう変わらない? 関東大震災時にささやかれた怪兵器とは!?

今回も前回に引き続き、1923年9月1日に発生した関東大震災に関する書籍の『大正大震災大火災』から、気になるエピソードを紹介したいと思います。

 

この書籍は震災当時の色々な出来事を紹介しているのですが、中には「最近も同じようなコトがあったような?」と思うエピソードも少なくありません。

 

と、いうわけで早速ですが、その内容を紹介したいと思います~(以下、〔 〕内は私が読み仮名を振った部分です。また適宜、旧字体や旧仮名遣いは現用のものに改めています)

 

 

関東大震災と『大正大震災大火災』

先日も同じ内容を記しましたが改めて。

 

1923年9月1日、相模湾北西部を震源としたM7.9の巨大地震が発生します。これが関東大震災です。震災による被害は首都圏を直撃し、特に東京市内や横浜市内では火災により多くの犠牲者が発生してしまいました。

 

この被害により出版業界も大ダメージを受けるわけですが、その中でわずか1ヵ月の間に企画、編集、印刷にこぎつけたのがこの『大正大震災大火災』です。発行部数については諸説ありますが大よそ30万部から40万部前後、この書籍は混乱した状況下、雑誌の販売網を利用することで大ベストセラーになりました。そのため、これ以降に雑誌の販売網を使って書籍も流通する、日本独自の販売形態が形成されたともいわれます。

 

地震は海外からの攻撃だった?

さて、この書籍の中には「訛伝、誤報、流言、飛語、地方騒ぎ」という項目があり、要は震災時に発生したデマについても紹介されています。

 

関東大震災時の流言というと朝鮮人虐殺の発生が悪い意味で有名ですが、ここではこの出来事については言及しません。その代りに、ここで紹介するのがこちら。

 

本書のp.202を見てみると

 

地震を起す機械

出所はどこか分からないが、あの大地震大火災で、下町一帯火の海と化した最中に、大塚警察へ飛び込んで来た一壮漢!

「この大地震は西洋で起こしたんだそうですが真実〔ほんとう〕ですか!?」

『何?』と云ったが、巡査は何のことか意味が分からない。

「チェッ! さとりの悪い巡査〔おまわり〕さんだな、この地震は、今度西洋で地震を起す機械を発明して、日本を真先きにやっつけう〔ママ〕としたんだっていうことですが本当にそうなんですか? 警察の方へはまだ宣戦の詔勅の通知はありませんか!?」

と息せき切って訊ねる。

 

なんて出来事が。

 

そもそも仮に戦争になるにしたって、その管轄は警察でなく軍隊だろうとか色々突っ込みどころはありますが、どうやら地震を起こす機械によって日本が攻撃された、という流言が出回っていたようです。

 

ちなみにこの話には続きがあって、

 

これには流石の巡査も返答の仕様がなかったそうだが、つづいて五六人もこれと同じ質問を警察へ持込んだ人があったので、巡査君ボウッとして了〔しま〕い、『ハテナ、これはひょとすると、そう云う新発見が事実あったのかナ? 俺が時勢におくれているのかナ?』と思ったそうだ。

 

と、この流言について問い合わせたのが1人だけでなく、複数人であることが紹介されています。

 

地震兵器は近年も登場?

とまぁ地震を起こす機械が発明されて日本が攻撃された、という流言なのですが、これと同じような話は、近年の東日本大震災熊本地震でもまことしやかにささやかれています。

 

matome.naver.jp

こちらのまとめサイトで紹介されているように、アメリカで行われている高周波活性オーロラ調査プログラム(略称HAARP、ハープ)は、どういう理屈か陰謀論者の間ではアメリカの地震兵器ということになっています。

 

で、陰謀論者的には近年の大地震はすべてこのハープによるものらしいのですが、似たような話は少なくとも100年前にはすでに存在していたわけです。

 

私は正直なところ地震兵器は与太話だと思っていますが、同じような論理構造の話が時代を問わず発生している点は興味深いと思っている次第ですね。