歴史好きのよもやま話。

明日を生きるのに必要ない、無駄な知識をつらつらと。

現代とそう変わらない? 関東大震災当時の人々の行動とは

今回は、1923年9月1日に発生した関東大震災について最も早い段階で紹介した書籍である『大正大震災大火災』から気になるエピソードを紹介したいと思います。

 

この書籍は震災当時の色々な出来事を紹介しているのですが、中には「最近も同じようなコトがあったような?」と思うエピソードも少なくありません。

 

と、いうわけで早速ですが、その内容に取り上げたいと思います~(以下、〔 〕内は私が読み仮名を振った部分です。また適宜、旧字体や旧仮名遣いは現用のものに改めています)

 

 

関東大震災と『大正大震災大火災』

1923年9月1日、相模湾北西部を震源としたM7.9の巨大地震が発生します。これが関東大震災です。震災による被害は首都圏を直撃し、特に東京市内や横浜市内では火災により多くの犠牲者が発生してしまいました。

 

この被害によって出版業界も大ダメージを受けるわけですが、その中でわずか1ヵ月の間に企画、編集、発行にこぎつけたのがこの『大正大震災大火災』です。発行部数については諸説ありますが大よそ30万部から40万部前後、この書籍は混乱した状況下、雑誌の販売網を利用することで大ベストセラーになりました。そのため、これ以降に雑誌の販売網を使って書籍も流通する、日本独自の販売形態が形成されたともいわれます。

 

商魂たくましく? 大儲けをたくらむ人も

さて、この本は震災下の様々な出来事を紹介しているのですが、なかにはしょーもない出来事も取り上げられています。例えばp.185を見てみると、

 

あかるくなって青色吐息

何かボロイもうけ口はないかと考えて居る矢先、震災火災の為に全市は真暗闇になってしまった。蝋燭〔ろうそく〕はたちまち売り切れた。そこへ目をつけた者もすくなくはあるまいが、野州栃木町のある店は、早速蝋燭で大儲けをしようと家中身うごきも出来ないほど蝋燭を買いしめた処、電気がパッとついて、大儲けはオジャン。 

 

なんていう、値上がりを見込んでロウソクを買い占めたあるお店の話が記されています。

 

同じことは東日本大震災でも…

私はこの『大正大震災大火災』を、2011年に東日本大震災が発生した後に読みました。

 

そして読後に抱いた最初の感想は「人間やることは変わらないなぁ」

 

ちょうどその頃、何が話題になっていたかといえば乾電池の買い占めとヤフオクでの高値販売。

 

当時は計画停電の話も出ていたためか、乾電池の買い占めが発生してヤフオクでの販売額は定価の倍以上に。

 

www.yukawanet.com(ちょっと調べてみたら、ネット上でもこんなニュースが残っていました)

 

出てくるアイテムはロウソクから乾電池に様変わりしましたが、やってることは根本的に同じです。善い行いとは思えませんが、関東大震災時の「野州栃木町のある店」も、ヤフオクがあればもう少しうまく儲けられたのかもしれませんね。